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太陽光発電のメンテナンス不足で起こるリスク

2025年1月27日

太陽光発電のメンテナンス不足で起こるリスク



太陽光発電は、かつてメンテナンスフリーと言われていた時代もありました。FIT制度が導入された当初(2012年~2016年頃)は、販売側もメンテナンスや遠隔監視機器をセット販売することはほとんどなく、初期に太陽光発電を導入した投資家さんの多くはメンテナンスに加入したり、遠隔監視を設置したりすることは稀でした。

しかし実際には、メンテナンスを怠ると発電量の低下や災害・機器の劣化による発電所の停止など、様々な問題が発生することが分かっています。

屋内で使用する家電製品でさえ、数年使えば不具合が発生する可能性があります。ましてや屋外に設置されている太陽光発電システムは、風雨や雪、気温の変化など、過酷な環境にさらされています。そのため、定期的な点検・整備は必要不可欠です。

太陽光発電のメンテナンスを怠ると、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか? 以下で詳しく解説していきます。

発電ロスによる売電収入の減少

太陽光発電システムにおいて、太陽電池モジュールは発電の要となる部分です。太陽電池モジュールに汚れや傷が付いたり、影がかかったりすると、発電効率が低下し、発電ロスが発生します。

太陽光パネルはケーブルで直列に接続されているため、1枚のパネルに不具合が生じると、システム全体の発電量が低下する可能性があります。

固定価格買取制度(FIT)による売電期間は20年間と限られています。そのため、期間中の不要な発電ロスを減らし、売電収入を最大化することが重要です。

例えば、1kWhあたり18円の売電単価で、発電量が1kWh減少した場合、年間約6,000円、20年間で約13万円の損失となります。

さらに、発電設備を遮るほどの樹木や雑草は、設備のショートや火災を引き起こすリスクもあります。火災が発生した場合、機器の損失は損害保険でカバーできる可能性がありますが、復旧までの期間に売電機会を失ってしまいます。また、売電収入が減少した発電所は、売却時の価格にも影響します。

雑草は定期的な除草で防ぐことができます。こまめなメンテナンスを心がけましょう。

災害時の被害拡大

日本は台風や地震などの自然災害が多い国です。2011年の東日本大震災では、多くの太陽光発電システムが被害を受けました。

メンテナンスを怠ると、設備の劣化が早まり、災害時の被害が拡大する可能性があります。また、破損した設備が周囲に被害を与えた場合、管理責任を問われる可能性もあります。

日頃から点検を行い、不具合や劣化に迅速に対処することで、被害を最小限に抑えることができます。

近年では、低圧発電所でも事故が発生した場合、経済産業省への報告が義務付けられています。報告を怠ると、最悪の場合、FIT認定が取り消される可能性もあります。

盗難リスク

太陽光発電システムは、盗難の標的になることもあります。特に、無人の場所に設置された野立て太陽光発電所では、電気ケーブルなどが盗まれやすい傾向があります。

2022年現在でも、太陽光パネル、パワーコンディショナー、ケーブルなどの盗難被害が後を絶ちません。

野立て太陽光発電所は、フェンスや看板の設置が義務付けられていますが、これらは防犯対策ではなく、不意の立ち入り事故を防ぐためのものです。

盗難を防ぐためには、監視カメラの設置や遠隔監視システムの導入など、さらなる対策が必要です。

メンテナンス費用を節約することのデメリット

メンテナンスを怠ると、機器の故障や破損のリスクが高まります。電気ケーブルの断線や太陽電池モジュールの破損など、目に見える損傷であれば素人でも判断できますが、発電不良を起こしているパネルを見つけるには専門的な検査が必要です。

専門業者による点検を怠ると、損傷の進行により修理費用が高額になる可能性があります。また、故障による発電効率の低下は、さらなる収益減につながります。

パワーコンディショナーは、家電製品に近く、寿命は約10年と言われています。簡単な修理であれば2万円程度で済みますが、交換となると20万円程度かかることもあります。

太陽電池モジュールも同様で、清掃費用は1kWあたり数千円ですが、交換となると25~30万円かかります。

メンテナンスや清掃を怠ると、数十万円もの損害が発生する可能性があります。また、製品保証は10~15年の場合が多いですが、災害による破損は保証対象外となることが多い点に注意が必要です。

定期的なメンテナンスは、太陽光発電システムを長期にわたって安定稼働させるために不可欠です。



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